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澤田 育久/Ikuhisa Sawada

Artists’ Profile

1970年東京都生まれ。写真家の金村修に師事し、現在まで写真を撮り続ける。澤田の作品の特質は、漂白されたような都市のディテール写真と、印画紙、展示空間が関係性を帯びるように構造化(建築化)される。それぞれが本来意識されないままであるはずのものが、界面上のリアリティを通して一体化され、私たちの見知った風景と知覚の最中に、芸術が生じる瞬間を体感として垣間見せる。近年では、「Closed Circuit」というタイトルで、写真と展示空間の狭間に、イメージと物質の皮膜的な変容の局地を探し求めた試みを、月一回ペースで実験的に行っている。

Born in Tokyo in 1970
He studied under the photographer Osamu Kanemura and continues taking pictures to this day. The features of his works are detailed photographs of urban landscapes that look washed out and a structured installation which seems to cause the relationship between photographic paper and exhibition space. Photographic paper and exhibition space are originally things which are not noticeable. However they are unified through the reality on a surface boundary and reveal an instant bearing art of well-known sight and perception. Recently he makes attempts to search for a tunicae locality of transformation of an image and material in the small gap between photos and exhibition space in the exhibition entitled “Closed Circuit” held once a month.
http://sawadaikuhisa.com

sawada
“ Closed Circuit ” 2013

本人コメント
初動
ありふれた場所を反復して撮影し、展示を繰り返していくことにより、個々の写真の意味は希薄になり変容し、別の何かが立ち上がってくる。作家と写真にとって重要な事は何であるか模索する。

展示空間
物質性を伴わない貧弱なイメージに過ぎない写真を場に配置していくと、ある瞬間から物質性を放ち空間が変容する。空間と写真が呼応することによって場に歪んだ別の次元が発生し、写されたもの(対象)とも、写したもの(作者)とも無関係に切り離された新たな関係性が構築され、構造物に取り込まれていき、前提としてあったであろう意味や主従関係が放棄される。

洞窟現代
今回は所謂ギャラリースペースから大きく乖離した非常に強い場所での展示であり、空間を自分の作品で組み伏せることなく構造物に有機的に取り込まれるに任せていきたいと思っている。床に敷き詰められた写真が床となり、壁にはられた写真が壁になる。時間の経過や鑑賞者からの干渉に依って変容し、なされるがままに風化し、構築物の一部になっていく様を傍観者として観察し、作者として理解していきたい。

秘境
ある種コントロール不能であり空間に作品を委ね放擲する試みである。このようなアプローチを通してここから現前するものは作家自身も今までに立ち入ることのなかった内なる秘境として顕れてくるであろう。作家自身も理解し得なかった作品の本質が顕在化し、新たな模索が連綿と繰り返され、秘境の奥に秘境が出現し入れ子の中で永遠にさまよう。作家自身の衝動とそこから切り離された自律した作品の有り様を詳らかにしたい。