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松下 誠子/Seiko Matsushita

Artists’ Profile

北海道生まれ。母親の影響で、幼少の頃から神話に登場する鳥を描くようになる。現在まで、個展、グループ展を中心に、絵画、素描、彫刻、写真、映像作品など、幅広い表現手法を試みる。松下にとって重要なのは、身体の皮膚と衣服の狭間にある「第二の皮膚(衣服)」を作品として思考されていることである。彼女の世界観は、身体の皮膚に被さる、もうひとつの皮膚(衣服)を造形のベースにしながら、叙事詩のように、新たな神話が紡ぎ出される鳥のマスクと身体をもって、現実をイメージの庭へと浮遊させる。

Born in Hokkaido
She started drawing pictures of birds from myths when she was a child under her mother’s influence. She has tried various styles including paintings, drawings, sculptures, photos, and video works in solo/group exhibitions till now. The important thing for her is that her art works are perceived as “the second skin (vesture)” existing between flesh and clothes. In her world view, reality is winged to the garden of image with the myth having a mask and body to be woven, using ‘the second skin (vesture)’ to cover the flesh as a base for creation.
http://matsushitaseiko.web.fc2.com

matsu
“ MV ( Mother’s Voice ) 47/83 ” 2009

本人コメント
2013「秘境を求めて」展
清岡さんは、自ら行動に立ち上がって提示した。芸術のありかたを提示した。

芸術のあるべき姿を探る原初性への回帰を表現する側に企画する側に、そして鑑賞者に向かって提示している。

人類が文化が、緩やかなカーブをもって破壊へと進むなかで、大きな方向転換を余儀なくされる必然を私たちは抱えている。

芸術を軸としたこの提示は、世界に向けて投げかけられたのである。展覧会において、この意図に一歩でも繋がるには、表現者と鑑賞者との共振に依るところが大きい。驚き発見が新たな創造へと導かれ、そして創造力こそが今の危うい時代を切り開いて行く原動力となり得るからである。

パラフィン紙で作った衣服は私の作品のモチーフである。どこにでも見られるごく普通の女児服である。まだ性格というものが形成されてない身体の拠り所となる。身体を第一の衣服と捉えれば、パラフィンドレスは第二の皮膚となる。第二の皮膚は己と世界の境界線である。洞窟現代の天井から不完全性と矛盾性を孕むこのドレスがぶら下がる。鑑賞者の参加を得て不完全から変容の過程が生じる。道程には羽をもった躍動物が潜んでいる。あなたが持ち得る物象化される種を身体の様々な機能を使って、この躍動物を狩り出し振動を起こし像を結んでほしい。不完全は不完全のままでその変容の庭には、現と夢、過去と現在、異常と正常、眠りと覚醒、生と死といった境界線が揺らぎ、融合が生じる事は世界との融合に他ならない。

パラフィンドレスの展示に連動して映し出される映像の一つ 「Self – Busy about Hersel – 彼女は自分の事で忙しい」

一つの仮説

「自分のなすべきことは何か」を求め正しく生きようと旅立ちを決意する。その旅立ちのために、ていねいにていねに身繕いをする。身繕いをしているうちに、その見繕いがおもしろくなり夢中になる。旅立ちの事はすっかり忘れて、懸命に見繕いをしているので、周りの雀からもあきれられて笑われる。「かまうものか」とますます夢中になる。しかし、本人がこれに意味があると言えば意味になる。これが旅だといえば旅なる。これが瞑想だといえば瞑想にもなり得る。自己を覆う外装から中心の間の層は、より主観的になりより利己的にもなる。自己との対話が大切である事は自明の理とされるが、時として深くのめり込む事がある。そこから自己他己に関わる執着や矛盾といったおかしみが生まれて来るのである。